26 雑誌と書籍

「安定収入より自由が大事!」ということに気づいてから、肩の力が抜けたのか、「もうかるライター」にはこだわらなくなりました。それに、「なにがなんでもに関する書籍を作るぞ!」という気持ちもなくなりました。時々、同業者の知り合いに会ったときなどに、

「こんな企画があるんですけどね〜」

と話題にする程度。

だって、収入はそれほど多くないけれど、こうしてノンビリ暮らせるだけでも幸せだもの。

もう多くを望まないわ〜(←肩の力、抜きすぎ)。

 

ところがそんなある日、知人からこんな連絡がありました。

「出版社の編集さんで、に関する本を作りたいって人がいるんだけど。協力してくれるライターを探しているらしいよ」

なんという偶然! あんなマイナーなテーマの企画を、ウサ吉とほぼ同時期に考えた人がいるなんて!

早速、連絡先を聞き、そのTさんという編集者にメールしてみました。ところが、すでに他のライターと会ってしまい、その人に決定しちゃったとのこと。残念!

でもメールのやりとりをした際、ウサ吉のプロフィールについていろいろ質問してきたので、返答のついでにTさんが興味を持ちそうな企画をいくつか提案してみたところ、

「アナタおもしろいですね。一度会いましょう」

ということに。

そして、とはまったく関係のない書籍の企画が通 りました。しかもそれは、以前ウサ吉が、他の出版社に出したところ「マイナーなネタだから出版は難しい」と断わられた企画(といい、今回の企画といい、ウサ吉ってばマイナーなネタが好きなのね)。

ところがTさんは「マイナーで、他社では出してない内容だからこそ、いいんじゃない?」とおもしろがってくれたのです。

「そうか! 企画を売り込む際、企画の完成度(おもしろさ・売れる可能性など)も大事だけど、企画を通 すには、編集者との相性(好みの違い)も重要なんだわ!」

と思いました。ウサ吉とTさんは、ほぼ同時期に同じ企画を思いついたくらいだから、もともと企画の好みが似ていたのでしょう。

 

それから急に忙しくなりました。Tさんの会社で通った企画は2つあったので、それを同時進行で作ることに。

しかもこの頃は、少しだけど月刊誌のレギュラーの仕事もやっていたし、それプラス、単発の雑誌やムックの仕事のほか、編プロ経由で書籍の仕事をやる機会もありました。

さらに、このメルマガを(正確に言えば、メルマガのバックナンバーを公開していたHPを)書籍にしたいという出版社まで現れた!

この年は、編プロを辞めてフリーになって以来、いちばん忙しい年でした。結果 として、収入は大幅にアップ。ウサ吉の目指していた年収もクリアしました。

正直に告白すると、翌年はその金額を維持することはできず、次の年の収入は少々落ちました! でも、「頑張り次第で収入はアップする」ということがわかり、さらに「このくらい忙しいと、このくらいの収入になる」という感覚がつかめのでヨシとしよう。

 

収入アップの理由は、単純に仕事が増えたからというのもありますが、とくに「書籍の仕事が増えた」ことが大きいと思います。というのも、書籍の仕事のほとんどは、執筆だけでなく編集もウサ吉が担当して、

印税(または原稿料)+編集費

というかたちでギャラをもらったのです。前に、ウサ吉が「もうかるライター」になるには、

[1]印税でプラスαの収入を得る
[2]編集やデザインの仕事も一緒に受ける
[3]編プロを立ち上げる
[4]仕事で得た知識やライターとしての視点を、他の仕事に活かす

といった方法がある(でも自分にはどれも無理そう!)、と書いたことがあります。

どうやらウサ吉が「もうかるライター」になるには、書籍の仕事を増やして、2の案を取り入れればいいようです。

ウサ吉は、これまでずっと「自分は編集なんて絶対向いていない。苦手。キライ」と思っていたけれど、正確に言うとウサ吉が苦手なのは、“雑誌の”編集なのでした。雑誌の編集は、カメラマン、デザイナー、イラストレーター、取材相手などさまざまな人と同時進行でやり取りしするし、何かちょっとした変更事項があれば、各人の関連を考慮しながら、瞬時に対応しないといけない。頭の回転の速さや行動力、社交性などが必要なのです。こりゃウサ吉には無理ね!

でも書籍の場合、じっくりコツコツ取り組む作業が多いし、書籍のジャンルにもよるけれど、素早さや臨機応変さよりも、ものごとを深く追求するねばり強さのほうが大事。

それにウサ吉の場合、雑誌の仕事は、編集だけでなくライターも苦手なのです。雑誌の仕事をやっている間は、常にセカセカと時間に追われているので、

「あぁーもう嫌だ。ライターなんてやってられない。このまま続けていたら、寿命が縮まってしまう!」

といつも思っていました。けれど、書籍だったらそこまで追い詰められることはないので、心が安定した状態で仕事ができます。

でも一般的には「書籍より、雑誌のほうがもうかる!」と思われているようです。実際、そういう意見を数人の同業者から聞きました。確かに雑誌のほうが、仕事がスタートしてから終了までの期間が短いので、ページ単価の高い仕事を受けるとか、数十ページの特集を担当するといったことが可能であれば、書籍よりもうかると思います。

ウサ吉が過去の仕事で「効率よくかせげたな」と思えた仕事の一つに、占いムックの執筆があります。担当したのは30ページくらいの巻頭特集。数ページの企画を何本も担当するのと違い、頭を何度も切り替える必要がなく、じっくり取り組むことができました。この仕事に費やした日数は、原稿執筆のほか、打ち合わせや取材、編集部に出向いてのゲラチェック(レイアウトを組んだ状態の誌面 をチェックする)を合わせても10日くらい。

書籍の仕事は、完成まで半年くらいかかり(半年間ずーっと拘束されるわけではないけれど、常に頭の中で気にしている状態)、ギャラはこのムックの2〜3倍程度。ということは、雑誌の仕事でこのムックみたいな仕事を月に2本やる機会があれば、確かに書籍よりもうかるわ!

と思いました。なので、ウサ吉が雑誌の仕事でもうからないのは、

・精神的プレッシャーに耐えられない
・割のいい雑誌の仕事を受ける(または自分から提案する)機会がない

ということなのでしょう。

このほか、「出版社から直接受けるのではなく、編プロ経由で受ける仕事はもうからない」という話もよく聞きます。でもウサ吉の場合、編プロがその記事(または書籍)の方向性を決めたり、取材のアポを取ったり、出版社の担当者やデザイナーやカメラマン等と連絡を取ったりといった、面 倒なことをすべてやってくれるなら、自分は敷かれたレールの上を突っ走る(=取材&調べもの&執筆に専念する!)だけでよいので、「実働時間や精神的負担の度合いも考えると、割のいい仕事と言える(こともある)」と感じます。特に、雑誌ではなく書籍の仕事の場合。

ライター&エディターの仕事は、雑誌、ムック、書籍、ウェブ、広告などいろいろあるし、クライアントもさまざま。要は、その中から自分にとって、なるべくストレスを感じずにすむものを探して、その仕事の割合を増やせば自然ともうかる! ということなのでしょう。