
|
■ 02 ウサ吉、将来についてまだまだ悩む
ウサ吉は雑誌を読むのが大好きで、そのうえインテリアや雑貨にも興味があったので、「こりゃウサ吉にピッタリの仕事ね!」と勝手に思いこんでいました。しかもある雑誌に載っていた「スタイリストなんて、派手そうに見えるけどホントはとっても地味な仕事なんですよ」というスタイリストさんのコメントを読んで、地味な学生だったウサ吉は「ほ〜ら、ますますピッタリ!」とすっかりその気になっていたのでした。 でも当時のウサ吉が、雑貨スタイリストになるためにやっていたことといえば、こまめに雑貨屋さんをのぞくことぐらいでした。本当に好きでやりたい仕事なら、家で手持ちの雑貨を使ってオシャレにスタイリングしてみたり、好きなスタイリストさんに手紙を書いてみたりすればいいのに、ただひたすら「私は絶対になれるはず!」と思いこんでいるだけで、何の努力もしていませんでした。 ウサ吉は、とにかくスタイリストを養成するスクールにでも行きさえすれば、そこで自分の才能はメキメキと伸び、みんなの注目を浴び、現役のスタイリストさんに声をかけられ、アシスタントになり、3年後ぐらいには独立する! と思っていたのです。ああ、若さっておそろしい。 あるときそんなウサ吉に、ちょっとしたチャンスが訪れました。 親戚の結婚式に出席するため、ひとりで東京に行くことになったのです。「もう学校なんてやめたい!」と思っていた、大学3年生の冬のことでした。当時九州に住んでいたウサ吉は、東京に一度も行ったことがなかったので、喜んで結婚式に出席しました。 せっかくなので、ウサ吉は親戚の家に泊めてもらい、2日間かけて渋谷や青山の雑貨屋を見てまわりました。ついでに、大学卒業後に行こうと思っていたスタイリスト養成スクールの見学にも行きました。そして、スクールの説明をしてくれた人に「もうすぐ4年生になるけれど、大学をやめてすぐにでもここに入りたい」という話をしてみました。 ウサ吉は「どうぞどうぞ! 4月からいらっしゃい。待ってるわ」という反応を期待していたのですが、意外なことに大反対されてしまいました。「ウチの学校に予定より1年遅れて入っても、1年の差なんてたいしたことはないから、とにかく大学をちゃんと卒業してからいらっしゃい」と、大学をやめないように説得されてしまったのです。 仕方ないので、「1年なんて長いよなぁ」と思いながらも、上京するための資金作りのため、大学に通 いながらこれまで以上にバイトにはげむことにしました。 ところが4年生になり、周囲の人たちが就職活動で忙しくなってきた頃、また「やめたい病」が復活してしまいました。そして、「今日こそは退学届を出そう!」と学生課の窓口の近くをウロウロする日々が続くのでした。 |